夢日記

寝てる際にみる夢の話が多めです。

くろまる、涅槃へ逝く

数ヶ月前になるが、以前飼っていた黒い柴犬が夢に出てきた。彼の名はくろまる。死んでから2度目の登場である。1度目は古代ローマの湯殿のような場所で会った。今回の舞台は私の寝室だった。私はくろまるを抱きかかえていて、本来ならばその位置からは見える筈のない西陽が眩く私たちを照らしていた。くろまるの顔を見ると、とても哀しそうな、まるで泣いているかのような表情をしていた。それ以来、彼は私の夢には出てこない。

くろまるは元々、親戚のおじさんが飼っていた犬だったが、そのおじさんが体調を崩して、面倒を見ることが困難になった為、我が家にやってきた。耳が悪い訳ではないのに、名前を呼んでも自分のことだと分からず、お手もお座りもできない、病気のため睾丸を摘出されている。

ある日のこと、彼と散歩をしていると、小さな女の子が散歩させていたミニチュアダックスが飼い主の隙をついて、猛然と私の犬に襲いかかってきた。私を中心にしてクルクルと追っかけ回されても、威嚇さえもできなかった。体毛は黒かったが、脳みそは真っ白だった。ところで、天国に至る門は、極めて狭いと聞く。しかし、何ひとつ解せぬ、如何なる記憶の傷にも汚染され得ないあの純白の魂ならば、そこを潜り抜けることは極めて容易いだろう。浄玻璃の鏡も彼を前にしては、何一つ写すことのできぬ古ぼけた姿見に過ぎないだろう。

さらば、くろまる!我が天使よ!